「売らなければ損じゃない」。その言葉だけでは、保有を続ける理由にならない。含み損は、保有資産の時価が取得価格を下回っている未確定の損失だ。決済まで損益が確定しないことと、損失を抱えていないことは別の話になる。語義は含み損の解説でも確認できる。
とはいえ、含み損があるだけで即座に撤退と決めるのも早い。きみが確かめたいのは、待つ理由と、待てなくなる条件だ。
その保有理由は、買値を隠しても残るか?
「長期で持つつもりだった」という反論はあるだろう。では、何を根拠に、いつまで持つつもりだったか。自分なら、買値に戻ってほしいという希望と、今も保有する理由を分けて書く。
三菱UFJ eスマート証券の用語集では、塩漬け株を、値下がりして含み損を抱えたまま長期間保有し続けている状態と説明している。ここでは期間の長さに加えて、判断の更新を止めていないかを点検したい。
- 買ったときの理由を一文で書き、今も成り立つ条件に線を引く。
- 保有理由が崩れたと判断する出来事を、具体的な言葉で書く。
- 買値をいったん隠し、今の価格でも同じ数量を持ちたいか答える。
答えが「戻るまで待つ」だけなら、戻らなかった場合の判断が空欄だ。その空欄を埋めてから、保有継続を比べたい。
待つ間に、どこまでの損失を引き受けるか?
「今すぐ使わない資金だから待てる」。それなら、使う予定がない期間と、追加で失っても受け入れられる金額を書き出そう。期間を延ばす判断と、損失の許容額を増やす判断を、一緒にしていないか?
記録には、現在の評価額、含み損額、ここから許容する追加損失額を別々に置く。さらに下がった価格を想定し、その数量を持ったままで許容額に収まるか計算する。資金が必要になる時点でも回復していなかったら、どうするかも残す。
FXでは、自分が待つと決めても保有を続けられるとは限らない。証拠金維持率が業者の定める水準を下回ると、強制決済される仕組みがある。OANDA証券のロスカット解説が示すとおり、約定価格や損失上限は保証されず、急変時には預けた証拠金を超える損失もあり得る。
三つの選択肢に、条件を書き添えられるか?
比較するのは「損を認めるかどうか」ではなく、今後どの条件で資金を持つかだ。次の欄を自分の数字と言葉で埋めてみよう。

| 選択肢 | 決める前に書くこと |
|---|---|
| 保有継続 | 残っている保有理由、追加損失の許容額、次の見直し時点 |
| 縮小 | 減らす数量と残す数量、残した分を保有する条件 |
| 撤退 | 保有理由が崩れた点、決済する数量と注文方法 |
選んだ理由は、その日の評価額と一緒に記録する。欄の作り方に迷うなら、注文前の判断と取引後の事実を分けるトレード記録の付け方につなげられる。
待つ、減らす、手放す。きみの答えは、買値への願いよりも、自分で書いた数字と条件の中にある。


