「今回だけは、損切りを少し待とう」。よく聞く言い訳だ。自分も2019年、この一言でルールを外して口座の4割を失った。
ぶっちゃけ、待つか待たないかの問題じゃない。1回でいくら失っていいかを、決めていなかっただけだ。資金管理は、次の3つの問いに数字で答える作業だと自分は考えている。
1回の取引で、いくらまで失っていいのか?
その前に一つ。口座のお金は生活費と切り分けてあるか? J-FLECの解説は、証券投資では余裕資金を持つことが大切だとしている。損失額は、切り分けた後の口座残高から出す。
式は単純だ。口座残高×自分で選んだ許容損失率。仮の数字で言うと、残高100万円で率を2%にすれば20,000円になる。
2%はCME Groupの教育資料で紹介されている方法だ。ただ同資料は、この閾値は任意で、もっと厳しくも緩くもできると書いている。問うべきは率の正しさじゃない。きみはその額を何回か続けて失っても、平気でいられるか?
その金額で、何株まで持てるのか?
許容損失額が決まれば、数量は逆算できる。先に損切りまでの値幅を決め、許容損失額をその値幅で割る。
| 損切りまでの値幅(1株あたり) | 持てる数量 |
|---|---|
| 50円 | 400株 |
| 100円 | 200株 |
値幅を広げれば数量は減る。数量を増やしたいなら、損切りを近くに置くしかない。「値幅も数量も欲しい」は通らない。
自分は勝ちが続いた月にロットを倍にして、翌月で吐き出した。この逆算を飛ばして、気分で数量を決めた結果だ。
損切り注文を置けば、損失はそこで止まるのか?
止まらないことがある。FINRAは2025年3月26日の解説で、速い相場ではストップ注文が想定より大幅に不利な価格で約定する可能性があると説明している。20,000円は上限じゃない。滑る余地を、きみはどう見込む?
レバレッジが絡むと話はさらに重い。金融庁の案内によれば、個人の店頭FXは取引金額の4%以上の証拠金が必要で、レバレッジは25倍まで。しかもロスカットがあっても、急変時には証拠金を超える損失が生じ得る。
国内株の信用取引も同じ構図だ。日本取引所グループの説明では、通常銘柄の委託保証金は売買代金の30%以上。損失や費用を引いた保証金が20%を下回ると、追加保証金が必要になる。30%入れたから30%まで負けていい、という話じゃない。保証金率と許容損失率は別物だ。
残る問い:その数字、ノートに残っているか?
決めた数字は、取引の前に書き、取引の後に見返して初めて効く。J-FLECの教材にも、資産運用の記録表と振り返りの教材がある。
自分は判断記録をノートに手書きで残している。形式は何でもいい。1行に、この記事で出した数字が並んでいるか?
- 取引前の口座残高
- 選んだ許容損失率と、そこから出した許容損失額
- 損切りまでの値幅と数量
- 実際に約定した価格と、許容損失額との差
最後の欄がいちばん痛い。相場が滑ったのか。それとも「今回だけ」と自分でずらしたのか。
何%が自分に合うのか。答えは、きみのノートに並んだ数字の中にある。
