その注文、押す前に一つだけ答えてほしい。負けたとき、きみはいくら失う?円で言えるか?
金額が出てこないなら、計算はまだ途中だ。リスクリワードの計算は、勝つための道具じゃない。負け方を先に決めるための道具だと自分は思っている。
勝率が高ければ、比率は気にしなくていい?
先に反論を立てておく。勝てる手法があるなら、幅を細かく測る必要はない——そういう言い分はある。自分も勝ちが続いた月に同じことを考えて、ロットを倍にして翌月で吐き出した。
米CFTCの用語集は、リスクリワード比を損失と利益の確率の関係と定義し、取引を選ぶ基準だと説明している。幅だけでは優劣も期待利益も決まらず、勝率や手数料まで並べてやっと検証になる。
計算は、どの順番で進むのか?
順番を入れ替えると壊れる。CME Groupは取引前に、損切り位置と、口座資金のどれだけをリスクにさらすかを把握するとポジションサイズの解説で示している。

- 口座資金の残高を確認する
- 今回の取引で許容する損失額を決める
- シナリオが崩れる水準に損切りを先に置く
- エントリーから損切りまでの値幅を出す
- 値幅に1単位あたりの損益額を掛けて、1単位あたりのリスク金額を出す。そのうえで許容損失額をこの金額で割り、ポジションサイズを算出する
- 損切り幅に目標の比率を掛けて利益確定ラインを置く
- 手数料・スプレッド・スリッページを見込み、判断をノートに残す
CMEの例では、50ティックの損切りで1ティック10ドルなら、1枚あたりのリスクは500ドルになる。
口座50万円なら、数字はどこに落ちるか?
仮の条件で置いてみる。実在の銘柄の話ではない。口座資金50万円、許容リスクを1%とすれば、許容損失額は5,000円。エントリー1,000円で損切り水準が990円ならリスク幅は10円。1株あたり10円のリスクだから、ポジションサイズは500株だ。
リスク:リターンを2:1にするなら、利益幅は損切り幅の2倍で20円。買いなら利益確定価格は1,020円、狙う利益は10,000円。
| 許容損失額 | 5,000円 |
|---|---|
| 損切り幅 | 10円 |
| ポジションサイズ | 500株 |
| 利益確定価格 | 1,020円 |
| 想定利益 | 10,000円 |
論理的な損切りと、感情的な損切りの違いは?
損切りは一定幅で機械的に置くものではなく、相場観が誤りだと判断できる論理的な水準に置く、というのがCMEの考え方だった。通常の値動きで簡単に触れる場所なら、損切りというより手数料の払い方に近い。

計算上の損切り額は、実際の最大損失を保証しない。金融庁は個人の店頭FXで、取引金額の4%以上の証拠金が必要でレバレッジは25倍以下になるとし、急激な相場変動時にはロスカットが適用されても証拠金を上回る損失が生じ得ると注意している(掲載更新日2020年2月21日)。
残るのは、どの比率を選ぶかだけか?
比率の前に、率がある。CME Groupは1回の取引で口座資金の1〜3%をリスクにさらす例を挙げつつ、2%という線は恣意的で、もっと厳しくも緩くもできると書いている。その1%が自分に合うかは、口座残高と生活費と、過去の負け方でしか決まらない。1回の取引で失ってよい金額の出し方は投資の資金管理と判断記録の付け方に並べてある。
2:1で足りるのか、3:1が要るのか。ここでは決めない。
自分のノートの2019年のページには、欄外にこう書いてある。「損切りを先に置かない日は、注文を出さない」。
